関節リセットストレッチ ターゲットは筋肉と筋膜と関節 Vol.4  膝の痛みに対応する③

前回は一般的に行われている膝痛の対処方法は、痛くなった時の回避方法であり、痛くならないための予防方法としては不完全である、という解説でした。

そして不完全である最も理由として「身体との対話」が出来ていないというところで話が終わっていました。今回はその続きです。

 

■膝の外側痛予防の筋膜リリース

ポールやボールで主に狙っていくのは、足の付け根の大腿筋膜張筋から腸脛靭帯を通って膝上までになるのですが、ザックリと足の外側全面と理解してもらえれば大丈夫です。

「その筋膜リリースなら知ってるー」と思った人もいるかも知れませんが、みなさんが知っているのは、恐らく「型」だけです。

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「身体との対話」を意識することで、その「型」は限りなく多くのヴァリエーションを生み出すことになります

 

■貴重な経験。身体との対話をはじめたきっかけ

最初に。この個所の筋膜リリースは、初めて経験される方にとっては激痛を伴うことがあります。私も最初に経験した時は、剣山でザクザク刺されるような痛さを感じました。手に汗を握り、額から流れ出た汗が顎から滴り落ちていました。

「そんなに痛い方法をとってはダメだ」という人もいるでしょう。確かに一理あります。筋肉への過剰な痛みは、筋の緊張を生み出し、上手く伸びなくなってしまう一面もありますから。しかし、では痛みのない方法で、どれほど効果があるのでしょうか? いえ、過去何十年とそれを推奨してきた人たちがいたのですから、どれほど予防効果があったのですか?と問い詰めていいと思います。私にとってはそれだけが正解ではありませんでした。その最たる理由となるのが「痛みこそ身体が訴えるSOS信号だから」です。痛過ぎはNGですが、イタ気持ち良い状態を見つけることは、必須条件です。そのイタ気持ち良い状態を見つけ出すまでに、痛過ぎる状態も経験するでしょう。しかしその経験こそが尊いのです。痛みの感じ方や、筋肉の性質には個人差があります。どの程度の痛みなら自分は大丈夫なのか?効果的なのか? それは自分で試していくしかないのです。

私は膝にも腰にも大きな怪我を抱えていました。その痛みが明確な患部にばかり気をとられ、そんなに痛くなるまで放っておいた患部への連動性が高い筋肉や筋膜に対して、猛烈に反省しました。そしてそれでも毎日自分の身体を支えてくれていた事に心から感謝しました。だから、絶対に痛くない状態にしてやる!と思いながら、この筋膜リリースをはじめました。身体に対する『反省と感謝』。これが根底に無ければ『型』だけ追いかけても、期待する効果は得られないでしょう。

手で触れたり、ポールやボールを当てたりすると汗が止まらないぐらい痛いのに、触れなければ痛みを感じることがないのが筋肉や筋膜です。健康な状態の筋肉や筋膜は、触れようが押さえようが伸ばそうが、そう痛くはありません。つまり筋肉や筋膜の痛みこそ初期のSOS信号であり、その痛みを発見し除去できるかどうか?が、慢性的な関節の痛みを引き起こさないための有効な手段の1つなのです。

 

■慎重に、注意深く、段階的に、身体の声を聞く

まずは型から。最低でも6×2の『12パターン』。

写真のように構え、ポールに沿わせて身体をスライドさせます。

脚の真横、やや前側、やや後ろ側で3パターン。

これを、膝を伸ばした状態と、軽く曲げた状態で行います。

 

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続いて身体を前後に30度ずつ回転させます。

脚を当てている箇所を被せて起こす、という感じです。

足の上部、中部、下部の3カ所で行います。

全ての個所で、膝を伸ばした状態と、軽く曲げた状態で行います。

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以上、ここまでで12パターンです。全てにおいて共通していることは痛すぎる刺激はNGです。イタ気持ち良い状態がベストですので、最初の入りこそ最も慎重に行うことが大切です。いきなり全体重を乗せると、場合によってはちょっとした拷問になります。ビリビリと足首の方まで痺れる感覚を持つかも知れません。その場合は、強度が強すぎるのと、当てる個所がダイレクト過ぎるので、少し場所をずらし、体重の掛かりを軽くすればOKです。膝に近い位置ほど痛みが強くなる傾向にあり、また痛くて動かすことも出来ない人も中に入ると思います。その場合は全パターンやる必要はありませんし、動かさなくても当てているだけでも大丈夫です。当てた状態で30秒~1分、リラックス&深呼吸でキープしてください。で、次の段階はこのリラックス&深呼吸です。

 

■リラックス&深呼吸

上で紹介したようなことならやっているけど痛くない、という人もいるでしょうし、初めてやってみたけど全然痛くない、という人もいるかも知れません。そういう方は、まず間違いなくポールが当たっている箇所の力が抜けきっていません。動物は外からの刺激に対し、反射的に筋肉を緊張させて身を守るという本能があります。自分で加える力であっても、身体は無意識に硬縮し、内部を守ろうとします。外側の筋肉をガチガチに固めた状態で、いくら上の12パターンを試しても、効果は20%得られるかどうかぐらいです。私がターゲットにしているのは、表面の筋肉や筋膜だけでなく、骨に近い深層部の筋肉や筋膜などの癒着した組織です。そこまで到達できるかどうかが、膝の痛みを未然に防げるかどうか、また膝の痛みを自力で治せるかどうかの大きなポイントとなります。そしてこのリラックス&深呼吸をクリアできれば、最後、骨に近い深層部の組織を剥がすイメージを持った筋膜リリースになります。

 

■骨から組織を引き剥がす

リラックス&深呼吸をして、紹介した12パターンを実践すれば、格別に痛い箇所が見つかると思います。コリコリしている事が多いせいか、一般的には「コリ」と呼ばれています。最近ではトリガーポイントという言葉で表現されることが多くなってきました。

そのコリッとした部分でリラックス&深呼吸をして、体重を徐々に乗せ、患部を押し付けた状態で、少しだけ横にスライドさせます。リラックスした状態で、骨まで押し当てて、肉をちょっと横にずらす、という感じです。

「コリをほぐすマッサージ」「トリガーポイントのリリース」「極小単位でのストレッチ」「ロルフィング」「筋膜リリース」などなど、呼び方が問題ではありません。もはや、どれもこれも資格産業化して、どの資格を持っている人に聞けば確実なのか?などという確証はありません。大切なのは、資格ではなく『人』なのです。知識と型だけ教えて、何十万、何百万という金を巻き上げ、本質を捉える感覚と、人間そのものを育てない団体。そしてそんな資格ばかりを妄信的に追いかけて頼り切る患者。結果、慢性的に膝や腰の痛みを訴える人は減るどころか増えているのが現実です。

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■ここでまだ最初の一歩

ここまでやれば大丈夫なのか?と言われれば、まだ不十分です。これが最初の一歩なのです。段階としては、まず組織の癒着を剥がしてやる

→→→低負荷でゆっくりと最大可動範囲を動かし、筋肉、筋膜、神経、脂肪、血管など、あらゆる組織に「これが本来あるべき動きの基本だ」という事を教えてやる

→→→少しずつ負荷をかけ強度をあげ、筋力をつけていく

→→→連動性をもった複雑な動きを慎重に、ゆっくりと身体に記憶させる

→→→徐々に高強度で複雑なトレーニングにも耐えられるようになる。という流れです。

更にこれと同時並行で、細胞の分解と合成に必要な栄養素を、十分に24時間補給してやれる食生活の改善と、酸素を十分に取り込める呼吸の意識が整うと、回復は劇的に早まります。それを普通にしているカッサーのカズ選手や、野球のイチロー選手などは、怪我が少なく、あの年齢でも本人は「やれる」と言っているのです。理解できない人の方が多いので歳だ歳だと言われていますが、ご自身で出来るところまで実践してみれば分かります。身体は10歳も20歳も若くなり、格段に動きやすくなります。

 

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